水族館のジンベエザメは短命か？野生のジンベエザメの寿命は？

R6能登半島地震における設備故障による、のとじま水族館でのジンベエザメ死亡のニュースはショックでした。しかし、そもそもジンベエザメはどのくらい生きるものなのでしょうか。

ここでは、水族館のジンベエザメがどのくらいの期間生存しているのか、また野生の寿命はどのくらいかについて、情報をまとめました。

ジンベエザメとは、どんな生き物か

まずは、ジンベエザメの基本情報をおさらいしましょう。

ジンベエザメは成長すると体長14mをこえる大型の魚類です。その大きさから、クジラと勘違いされやすいですが、れっきとしたサメのなかま。現存する魚類の中では最大種になります。

サメと言っても、大人しい性格でプランクトンや小魚が主食。泳ぐのも遅いので、おっとりして見えます。

体の背面には白い斑点と縞があり、その模様が陣兵衛羽織（じんべえばおり）に似ていることから、この名前がつきました。

野生ジンベエザメの寿命

水族館で人気者の彼らですが、成長や繁殖生態についてはよくわかっていません。寿命もまた然り。海洋は広く、ジンベエザメの寿命についてはデータが少なすぎるのです。

しかし、寿命を「推定する」方法が見つかったそうで、それを利用してジンベエザメの寿命を推定した結果は…なんと130年！

オスの成熟年齢は〜25歳、寿命は〜130年に相当する。

MARINE&FREASH WATER RESERCH Comparing length-measurement methods and estimating growth parameters of free-swimming whale sharks (Rhincodon typus) near the South Ari Atoll, Maldives
Cameron T. Perry  ^A B C D , Joana Figueiredo ^C , Jeremy J. Vaudo ^A C , James Hancock ^B , Richard Rees ^B and Mahmood Shivji ^A Cより。https://www.publish.csiro.au/mf/MF17393

少なくともジンベエザメは最も寿命が長い海洋生物の一つ、とは言えそうです。

水族館で寿命をまっとうしたジンベエザメは存在しない

ジンベエザメの推定寿命が長すぎるあまり、「水族館のジンベエザメは短命か？」という検証はできません。なぜなら、これだけ長期にわたりジンベエザメを飼育している水族館が存在しないからです。

そこで、「水族館の飼育日数記録」に着目することにしました。

2024年1月現在、日本でジンベエザメを飼育している水族館はわずか３つ。美ら海水族館（沖縄）、海遊館（大阪府）、いおワールドかごしま（鹿児島県）です。

このうち、海遊館といおワールドかごしまでは、水槽の大きさに限りがあるためジンベエザメが成長して体長５〜5.5mを越えると海洋に放流し、新たに小さな個体を導入するという展示方法をとっています。この方法だと数年間で入れ替えることになるので、寿命を推し量ることはできません。

そのため今回は、飼育しているジンベエザメが成長しても海洋放流をおこなっていない、美ら海水族館の飼育日数記録に注目しました。

美ら海水族館のジンベエザメ「ジンタ」

美ら海水族館には「ジンタ」という愛称のジンベエザメがおり、なんと世界最長飼育記録を更新中です！

この間、ジンタは25歳以上で性成熟し、ジンベエザメの性成熟過程が世界で初めて解明されました（詳細はこちら）。さらには繁殖行動も観察されています（詳細はこちら）。

美ら海水族館ではこれまで最大３頭のジンベエザメが飼育されてきました。残念ながらメス一頭は死亡、もう一頭のメスは海上生簀（いけす）で飼育されています。

現在、美ら海水族館で見ることができるジンベエザメは、ジンタだけになります。

愛称	性別	展示開始	異動日・場所	理由
ジンタ	オス	1995/03/11（推定年齢3〜8歳）全長4.6m		世界最長飼育記録更新中
なし	メス	記載なし	2021/06/17（飼育期間13年２ヶ月）	死亡（当時の国内最長飼育記録）
なし	メス	記載なし		海上生簀で飼育中（2016年11月時点）

まとめ

今回はジンベエザメの寿命について、まとめました。

野生のジンベエザメの寿命が130年とスケールが大き過ぎて、現段階では歴史の浅すぎる水族館のジンベエザメとは比較できないことがわかりました。

将来、美ら海水族館で飼育されている「ジンタ」の世界最長飼育記録がどのくらい更新されるかも楽しみです。美ら海水族館の皆さん、ちばりよ〜！